皆さんもご存じの通り、現在快削黄銅棒のROHS2対応として、不純物として含まれるカドミウム含有を閾値の100PPM以下(0.01%)で管理したカドミレス快削黄銅棒が多くの加工業者にて使用されています。(実際には75PPM以下管理が多い)
ROHS2では、鉛含有適用除外(銅合金中4%以下)の期限中ですが、適用除外の期限が来て延期がなければ、カドミレス快削黄銅棒はROHS2対応としては使用出来なくなります。
この記事ではRoHS2の適用除外がなくなる時期や、適用除外後のことについて説明していきます。
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ROHS2適用除外廃止までのスケージュール
RoHS2の適用除外期限は、2021年7月21日と定められ、除外期限の18ヶ月前の2020年1月21日までに欧州委員会に対し期限延長の申請が認められています。(もうあと4ヶ月しかないんですね。)
期限延長の要求手続きがなければ、鉛含有適用除外が廃止され猶予期間(12~18ヶ月)を経て実施されることになります。
そうなると特定有害物質に指定されている鉛の最大許容濃度は0.1%となり、現在使用されているカドミレス快削黄銅棒は、ROHS2対応としては使用出来なくなります。
適用除外撤廃後の対応
鉛が適用除外になった際の鉛の代替にシリコン又はビスマスを添加した鉛レス快削黄銅棒を使用する必要がでてきます。
2000年以降、各黄銅棒メーカーが研究・開発を進め、既にJIS規格化され、鉛レス素材は供給可能な状態となっています。
鉛レス黄銅棒の問題点
一部においては既に採用されてはいますが、全体では使用実績はそれ程多くないのが実情の鉛レス黄銅棒。
その為部品としての特性を評価するデータがまだまだ少ないのが現状です。
材質選定する立場ならコスト以前に特性評価が必要で、その為には時間と費用が必要。
切削時に発生する切粉の管理方法や、処理方法等新たな問題も発生することが今後考えられています。
大手エンドユーザーに近い加工業者は、その対応方法について正確な情報が他より早く入手出来るが、そうでない加工業者はその情報をどうやって入手しているのでしょうか。
結局は、大手エンドユーザーの判断を待つしかないのが現状でしょうか。
鉛レス快削黄銅棒の今後の取り組みとお願い
今までの快削黄銅棒はJIS番号が同じなら、どの黄銅棒メーカーの材料でも大差がありませんでした。
鉛レス快削黄銅棒は同じJIS番号でも、メーカーが違うと差が出る可能性が有りどのメーカー品を在庫、また使用するのかの判断が難しくなりそうです。
黄銅棒メーカーからは、黄銅を取り扱う問屋、加工業者へは鉛レス黄銅棒について商品説明はすでにされています。
一方でそれら説明も現状では自社商品のPRに過ぎず、ユーザーからの意見や要望を集めきれていないのが現状のように思えます。
市場の覇権争いも大事ですが、規格の統一など、本当に使いやすい環境によい製品の投入を期待しています。
10年ほど前ですが、メモリスティックやSDカード、XDピクチャーカードなど、様々な小型メモリーカードが覇権争いをしていたことを思いだします。この時のPCは、すべてに対応しようと、こんなメディアスロットになっていたことも多々ありましたね。
今では、多くの方がSDカードを使うようになったように、鉛レス黄銅棒も10数年後には、どれかが覇権をとることになるんだろうなと思います。