ロンドン金属取引所(LME)の銅市場でファンドの持ち高が9ヶ月ぶりに買い越しとなった。チリの供給不安や米中対立の緩和期待を手掛かりにファンドが買いの姿勢に転じた。市場心理の改善で銅相場は7ヶ月ぶりの高値圏に上昇している。
LMEが毎週公表する建玉(未決済残高)明細によると、直近13日時点のファンドの持ち高は約3600枚(1枚=25㌧)の買い越しだった。
買い越しとなるのは2019年3月中旬以来9ヶ月ぶり。米中対立の激化と中国景気の減速を背景に、ファンドは今春以降売りの姿勢を強め、8月末にはおよそ1万8000枚の売り越しとなっていた。
10月中旬、銅鉱石の最大生産国であるチリで反政府抗議活動が広がり供給体制に懸念が生じた。
重なる様に、米中の通商が一部妥結に向かうとの観測が広がり、ファンドの売り越しは急速に縮小。前週の「第一段階」の合意が伝わった事でついに買い越しに転じた。
相場の上昇要因が重なった事でファンドがリスク選好になった。とみる。LMEの3ヶ月先物価格は12月に入り急ピッチで水準を上げ、7ヶ月ぶりの高値圏まで上昇した。
ただ、銅は1トン6100ドルを超えてから上値の重さが目立つ。中国需要の本格的な回復は先になるとの見方が多いためだ。「ファンドが直近で買い越し幅を大きく膨らますとは考えにくい」市場心理は着実に改善しているものの、懸念は払拭出来ていない。
<日本経済新聞2019.12.19>より
12月以降のLME銅相場上昇と在庫減少の因果関係が分からなかったが、上記記事により理解出来た。
ファンドの買い越しが要因である以上、中国景気の早期回復が見込めなければ反落に転じる事が予想され、来年以降注意が必要と思う。