銅相場

国際商品に5度目の「スーパーサイクル」説

銅や原油などの国際商品が高騰している。新型コロナウイルスのワクチン普及に伴う経済の急回復や大規模な金融・財政刺激策で需要が拡大するなか、供給増が需要の伸びに追いつかないとの見方が背景にある。米大手証券会社などを中心に、国際商品価格が数年単位で長期の上昇とその後の下落を描く「スーパーサイクル」に入ったと指摘する声が増え始めた。
商品市場のスーパーサイクルは、原油や鉱物資源などが長期の値上り局面とその後の下落を周期的に繰り返す事を指す言葉。

資源国のカナダ中央銀行や同国統計局が分析した論文などによると、1990年代初め以降4回のサイクルが存在したと言う。分析方法などで数年のずれがあるが、上昇局面の山が1915年、49年、80年、2009年前後、下降局面の谷は1898年、1932年、66年、95年前後とされる。山から谷、谷から山にはそれぞれ15年程度かかり、30年前後で一巡した。
何故こうした変動がうまれるのか。諸説あるが、何らかの理由で資源需要が急増した際、生産能力の拡大に時間が掛かり、供給の増加が遅れると言った時間差に着目した見方が最も説得力がある。一定時間の需要超過が価格上昇をもたらし、供給が拡大すると値下がりに転じる。
過去には、米国の都市化や工業化による需要急増、戦争による供給破壊、中国の経済発展などが契機になったとされる。2010年以降の商品価格は下降局面にあったが、足元で変化を指摘する声が増えてきた。JPモルガン証券は2月のリポートで「商品価格は20年を谷としたスーパーサイクルの上昇局面に入った」とし、過去10年の低インフレ時代が転機を迎えた可能性を指摘した。その要因として、コロナ後の経済回復、超緩和的な金融・財政・環境インフラ投資、ドル安に伴う投資マネー流入などを挙げる。
ただ、サイクル論には懐疑的な見方も根強い。コロナ後の反動による需要回復や、コロナ対策としての財政・金融政策などは一時的な側面も強い。住友商事グローバルリサーチの本間氏は「足元の商品市場に00年代初頭の中国の需要急増時の様な勢いは感じない」という。一方で「化石燃料から銅など鉱物資源に中長期に需要がシフトする流れに有り、一部商品は長期的に値上りする可能性が有る」とも指摘する。
<2021年3月2日 日本経済新聞より>

見解

結局は、商品価格は需給バランスによって変動するんでしょうが、世界的な異常事態が起こると変動幅が大きくなる。5回目のスーパーサイクルになるかどうかは分からないが、それだけ今回のコロナ禍は影響が大きいと言う事。
3月の記事だが、5月現在銅相場は過去最多値を更新中で有り、何となく現実味を帯びてきた様にも感じる。暴落を心配する中で、実需の買いが有る事を知ると当面は高値維持の相場展開になるのでは。

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