銅相場

銅高騰、中国「備蓄放出」で抑え込み 景気悪化を懸念

高騰が続いた銅など非鉄金属の相場が変調している。銅は5月高値から1割程安い。中国が商品高を抑える為、非鉄の国家備蓄を金属加工メーカーなど実需要家に放出する方針を打ち出したためだ。5月にもトレーダーを対象にした投機や買い占めの取り締まりを強化し、買い持ち高の解消を求めてきた。市場では中国の放出量を巡って思惑が交錯している。
国際指標のLME のドル建て相場は銅の23日終値が9482.5㌦/㌧と、5月の最高値から12%安。米国の緩和縮小観測に伴うドル高の他、中国の備蓄放出が報じられた6月中旬以降、軒並み下落した中国の非鉄相場が響き、投機的な持ち高が縮小した。
相場の変調をもたらしたのは国家糧食・物資備蓄局(SRA)が16日に公表した非鉄金属の国家備蓄放出策だ。金属加工業者などを対象にした公開入札を通じ、銅やアルミ、亜鉛を複数回に分けて放出する。22日には第1弾として7月5~6日に銅2万トン、アルミ5万トン、亜鉛3万トンを競売にかけると表明した。
異例の処置に踏み切った背景には、原材料コストが高騰するなか、最終製品への価格転嫁が遅れる川中・川下企業の業績悪化を食い止める狙いがある。需要への影響は限定的との見方も多い。22日に明らかになった放出量は銅やアルミで中国の月間生産量の2%程度にすぎず、世界の年間消費量から見ても小さかった。22日以降相場が小幅ながら反発に転じた事も、この見方を裏付ける。
この先、銅で推定150万~200万トン、アルミで120万~150万トン、亜鉛で30万~50万トン程度とされる備蓄のどれ位が市場に出回るかが焦点だ。銅やアルミなどでは「有事のための備蓄を全て放出する可能性は低く、数十万トン規模にとどまった場合には需給への影響は大きくない」との見方が多い。
昨年半ばからの非鉄相場の高騰は、コロナ禍後の世界経済の急回復や物流停滞に伴う需給の不一致や、金融緩和によるカネ余り、脱炭素に伴う長期的な需要の増加観測などの要因が影響した。中国の需要増だけに支えられた訳ではない。「在庫を放出する間だけの短期的な低下要因にしかならない」との指摘もある。中国は過去の価格上昇局面でも国家備蓄を放出したが、いずれも効果は一時的でその後価格は一段と上昇した。今回の中国の試みは、過熱相場をもたらした投機筋のポジションの解消に短期的に成功しても、長い目で見れば上昇圧力が残りそうだ。
<2021年6月24日付け日本経済新聞より>

所感

中国の国家備蓄放出に関しては、今年の春ごろから情報としては流れていたがタイミングとしては遅かった感が有る。しかも放出量も少なそうで、今後相場に対する下げ圧力は少ないのではないかと推測する。逆に放出した分を何れ補充する事が必然視される。そのタイミングで再度上昇圧力が掛かり相場を押し上げると予想する。

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