非鉄精錬メーカーが銅建値を改定する場合は、通常は2営業日間隔を空ける暗黙のルールが業界内にある。しかし指標となるLME相場や為替などが短期間で激変した場合は、1営業日空けただけの緊急改定が行われる。この緊急改定を上回る極めて異例の連日改定が10月19日と20日に発生した。投機的な思惑を背景にLMEの場外取引で現物相場が暴騰したのが理由だ。国際指標の現物セツルメントは今年5月に過去最高値1万724.5㌦を付けた。これを大幅に更新する1万1299.5㌦を付けた。投機的な動きが沈静化すると現物相場は一転して800㌦下落した。LMEの乱高下を受け国内メーカーは19日に銅建値を14万円引き上げ134万円(過去最高値更新)に緊急改定。翌20日は8万円下げの125万円へと異例の連日改定を余儀なくされた。最近の銅価高騰を受けエアコンの配管を銅からアルミに変更する製品開発が活発化している。これは氷山の一角で素材代替の検討分野は想像以上に多いかもしれない。「高価」に「不安定」が加われば銅離れがますます加速する。
<2021.10.29 日刊産業新聞 金属春秋より>
黄銅棒やダライ粉の価格指標となっているメーカー原料購入価格も独自の判断で改定し、市場の信頼感が揺らいでいる。そのメーカーは後日購入価格の発表方針を変更すると新聞発表して正当化しようとしている。黄銅棒業界は古い体質では有るが、一つのルールに則り商売として成り立ってきた事実から考えると、これから何を指標とするべきか考える事も必要かと感じます。