LMEの銅現物相場は現地18日の場外取引で暴騰しトン11,200ドルを突破した。同日の現物セツルメント(前場売値)から700㌦以上の大幅な値上がりとなり、今年5月10日に記録した現物セツルメントベースの過去最高値(10724.5㌦)を更新した。現物需給の急速なタイト化を背景に、売りポジションを持つ市場参加者が損失確定の買戻しを余儀なくされたのが背景とみられる。
現地18日のLME現物相場はセツルメントベースで前日比55㌦安の10,500㌦だった。しかしその後の場外取引では11299.50㌦に暴騰する異常な上げ幅を記録した。背景にあるのが現物需給の急速なタイト化とLMEの受渡期日の接近だ。
18日発表のLME在庫は18万1,375㌧(15日時点)9月末から17%減っている。減少傾向ではあるが表面上の在庫量だけを見るとそこまで相場を押し上げる影響は乏しそう。
だが出荷待ちの在庫、いわゆるキャンセルワラントの比率が88%に達しており実際には2万㌧程度しか余剰在庫はない。銅は投機的な要因も関係しているとみられ、先週末から急速に現物需給がタイト化している。
こうした状況下でLMEが受渡期日を迎える事も今回の暴騰と関係する。LME取引には契約を履行する為の受渡期日がある。取引が最も活発で流動性の高い受渡期日は毎月第3水曜日。今年10月の場合は20日となる。現物が極端な品不足に陥っている中、受渡期日の接近で売りポジションを抱えていた市場参加者が損失覚悟の買戻しを余儀なくされた事が、今回の異常な現物相場の暴騰につながった。
<日刊産業新聞2021年10月20日>より
投機によるテクニカルな結果による暴騰はよくある事だが、国内電気銅建値の設定には疑問が残る。建値は1企業が決めた価格を、関係する業界が勝手に指標としているので文句は言えないが、その影響を考えると少なくとも説明のつく価格設定である事を願います。